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専門医インタビュー

"膝の痛み"を我慢しないで ~変形性膝関節症の治療と人工膝関節置換術~

この記事の専門医

木村 正一 先生

北海道

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専門: 膝関節外科
資格: 日本整形外科専門医、日本整形外科認定スポーツ医

この記事の目次

患者さんはどのようなきっかけで受診されるでしょうか?

多くの患者さんが、「痛くて日常生活が困る」という理由で病院に来られます。具体的には、「階段を降りるときに痛む」「歩いたときに痛む」などの症状が、初期にあらわれるようです。症状が進むと、滑膜炎を起こして膝に水が溜まり、膝が曲げられなくなり、関節可動域が悪くなることもあります。症状がもっと進行すると、「夜に病んで痛い」こともあります。患者さんの中には、症状が悪化した状態でいらっしゃる方もいます。

変形性膝関節症には様々な治療法があると思いますが、主な治療法や治療法の選択基準について教えて下さい。

治療法の選択は、症状のステージによります。北大ステージ分類では、症状の進行を初期から末期まで、ステージI~Vに分けています。I 期は初期、II ・III 期は進行期、IV ・V 期は末期で、その各ステージによって、原則的には治療法が異なります。
初期では炎症を抑えるための痛み止めの投薬をしたり、関節内にヒアルロン酸ナトリウムという薬を使って関節注射をしたりします。また、リハビリで膝の周りを鍛えたり、O脚を予防したりする訓練を積極的にやることによって、症状を緩和させ、進行を食い止めます。
進行期のⅢ期になると、内側の関節軟骨が半分以上ダメージを受けています。ただ、外側の関節軟骨は正常な場合が多いので、若い方や力仕事をする方などには、高位脛骨骨切り術を適応します。これは、簡単にいうとO脚をX脚にする手術で、内側の悪いところにかかっていた体重を、正常に生き残っている外側に移動させます。また、Ⅲ期でも高齢で太っていない方や、余り活動性の高くない女性の場合は、内側だけ人工関節に取りかえる「人工膝関節片側置換術」という方法適用することもあります。この方法は、太っている方や活動性の高い方には向いていないので症例を選ぶ必要があります。
その他、末期のIV ・V 期で、なおかつ日常生活動作にとても困っている方や膝の曲がりが悪い方に対しては、人工膝関節置換術を適用します。これら治療法の適用は、基本的にはステージ分類をレントゲンで見て決めるのですが、中には末期でも痛みが少なく平気だという方もいらっしゃいますので、写真だけではなく、患者さん自身の話を聞いて、その人の痛みの度合いを考慮して決定しています。

人工膝関節置換術とは、どのような手術方法なのでしょうか。

人工膝関節置換術は、悪くなった膝の軟骨を削ぎ落として、人工膝関節に置き換える手術です。上の大腿骨(太ももの骨)には正常の軟骨と同じような形をした金歯のようなインプラントを被せ、下にある脛骨(すねの骨)にはさし歯のような金属製のトレーを乗せます。ただ、このままだと金属同士がカチカチいってしまいますので、この間に超高分子ポリエチレンを入れます。損傷した軟骨の代わりに、骨の表面に金属のインプラントを張り付けるのが人工膝関節置換術です。


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