関節治療の専門医に聞いてみました!

第246回 人工膝関節は技術が進歩した
痛みの軽減に
有効な選択肢です。

ドクター
プロフィール
専門分野:膝関節、人工関節/所属学会等:日本整形外科学会、東日本整形災害外科学会、関東整形災害外科学会、日本人工関節学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
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深川 真吾 先生

人工膝関節置換術は、現在、日本国内で年間約8万件も行われており、一般的な手術療法の一つになっています。「膝の痛みには、整形外科での受診と治療が大切です」と話す練馬総合病院の深川先生に、中高年以降の膝痛の原因と変形性膝関節症の治療法などについて詳しく伺いました。

膝痛の主な原因は何ですか?

半月板と靭帯

半月板と靭帯

中高年以降になると、膝痛の原因として圧倒的に多いのが変形性膝関節症によるものです。
変形性膝関節症は、膝を安定させる半月板などの損傷や関節軟骨のすり減りによって骨同士がぶつかり合い、亀裂や炎症が起こり、やがて膝関節が変形していく病気です。女性に多いと言われており、膝の痛みや膝に水が溜まるという症状が多く見られます。
また、変形性膝関節症は、関節軟骨の老化が原因で発症することが多いため、高齢になるほどかかる人が増えると考えられますが、発症には、軟骨の老化以外に肥満や遺伝も関与していると言われています。さらに、骨折などの外傷や筋力の衰え、若いときの半月板損傷、靭帯損傷が引き金となって発症したり、化膿性関節炎など感染症の後遺症として発症したりすることもあります。

整形外科を受診したほうがよい膝痛とは、どんな状態ですか?

膝の痛みで階段の登り降りがつらい、立ち上がるときに膝が痛む、歩き始めのときに膝が強く痛むといった症状があるなら、すぐに整形外科を受診することをお勧めします。整形外科では、まずレントゲン写真を撮り、変形性膝関節症と診断できる場合は、軟骨のすり減り度合いや骨の変形度合いなどから進行状態を確認します。変形性膝関節症は、大きく初期、中期、進行期、末期に分けられます。

変形性膝関節症の初期の症状と治療法を教えてください

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症のレントゲン

初期の場合、症状としては、立ち上がり、歩き始めなど、動作を始めるときにだけ痛み、休むと痛みが収まることがあります。このような初期の段階であれば、膝関節内へのヒアルロン酸注射や筋力訓練、体重コントロール、鎮痛薬による薬物療法、足底板などの装具療法といった保存療法で痛みを改善するとともに、進行抑制も目指しながら次の治療法を考えていくことができます。特に体重コントロールと筋力訓練は重要で、体重を1kg減らしただけで膝痛の症状が改善する人も少なくありません。膝痛があるとダイエットは難しいと思うので、少なくとも現状維持、できれば生活習慣の改善などで、少しでも体重を落とせるように心がけてみてください。それに加えて、主に大腿四頭筋という膝周囲の筋肉を集中的に鍛えることでも膝の痛みが改善するケースが多く見られるので、筋力訓練にも取り組むことをお勧めします。

変形性膝関節症の中期以降ではどんな症状があらわれますか?

膝の変形が進行したレントゲン

膝の変形が進行したレントゲン

中期に進行すると、膝痛によって正座や階段昇降が困難となることが多く、末期になると安静にしていても膝が痛み、膝関節が変形してまっすぐに伸ばすことができずに歩くのが難しくなることもあります。ここまで進行し、生活に支障が出ているような場合は、手術療法を考える段階と言ってよいでしょう。


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