関節治療の専門医に聞いてみました!

第254回 リバース型人工肩関節の症例が増えています。 早めに相談を!

ドクター
プロフィール
専門分野:肩関節外科、肘関節外科、リウマチ外科
1995年 鹿児島大学医学部卒業、1999年 鹿児島大学医学部整形外科医員、2015年 宮崎大学医学部整形外科講師、2017年 同准教授、2018年 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科整形外科学 教授
エリア 鹿児島県タグ
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谷口 昇 先生

年を重ねるにつれて、「肩が痛い」「腕が上がらない」といった悩みを抱える方が増えています。肩の痛みや症状が長期にわたり続く場合は、腱板断裂の疑いがあります。「五十肩だから仕方ないと思い込まずに、ぜひ専門医にご相談ください」と話す鹿児島大学病院の谷口昇先生にお話を伺いました。

加齢によって起こる肩の痛みにはどのようなものがありますか。

腱板は4つの筋肉から構成されます

腱板は4つの筋肉から構成されます

肩の痛みを伴う疾患には、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎や肩関節の骨が変形する変形性肩関節症、全身の関節が炎症を起こす関節リウマチなどいろいろありますが、加齢とともに増えるのが腱板断裂です。
肩関節は丸い上腕骨頭とお皿のような肩甲骨の関節窩により構成されており、体の中でも最も可動性の良い関節でありながら、最も不安定な関節です。この肩関節を安定させる働きを持つのが、4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)から構成される腱板です。腱板は加齢とともに老化し、断裂が生じやすくなります。肩の使いすぎによって腱板が擦り減っていれば、転んだり、重いものを持ち上げた時に一気に断裂が進むことがあります。
現在、日本では約1400万人が腱板断裂を有していると考えられています。40代から増え始め、70歳以上になると2人に1人の割合で腱板断裂がみられると言われていますが、そのうち肩の痛みのある人がおよそ3分の1で、残り3分の2の人は症状がありません。

腱板断裂の症状や受診のきっかけについて教えてください。

腱板断裂

腱板断裂

肩の痛みで特徴的なのは、夜間痛です。肩が痛くて眠れなかったり、痛みで目が覚めることもあります。また肩を動かすと痛みを感じる可動時痛もあり、その中には腕を挙げる時の引っかかる痛みも含まれます。しかし先ほど申し上げましたように、腱板断裂を有していても3分の2の人には症状がみられないので、痛みはないけれど力が入りづらく、重いものが持てなくなったという方もいらっしゃいます。日常生活に支障がなければ問題はないのですが、上記のような症状がみられるようでしたら、「年だから仕方ない」と軽く考えずに、早めに整形外科を受診してください。
肩の専門医ならば、問診と理学所見で痛みの原因がある程度分かりますが、正確に診断するためにはエコーやMRIによる検査が必要です。レントゲンに異常がないから、何も問題がないというわけではないことを知っていただきたいと思います。

具体的な治療法を教えてください。

腱板修復術に使用される器機

腱板修復術に使用される器機

腱板断裂の治療は大きく分けて、保存療法と手術療法の2種類があります。
保存療法では、炎症や痛みの消失・軽減を目的として、内服薬や湿布などの外用薬を用いた薬物療法や温熱療法・電気療法などの物理療法を行います。また、ヒアルロン酸や副腎皮質ステロイド薬を用いた注射や、肩甲骨の動きを改善して残った腱板を鍛えるリハビリテーションが有効な場合もあります。
保存療法を3~6ヶ月継続しても改善がみられない時は、手術療法をお勧めします。手術療法には、内視鏡による手術や切開による手術で腱板を修復する場合や、広範囲に腱板断裂や肩関節の変形が進んでいるケースでは、人工肩関節置換術を行う場合もあります。いずれの場合も患者さんの年齢や症状、断裂の大きさを検討した上で適応を判断します。


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