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専門医インタビュー

“膝の痛み”ライフスタイルに合わせ治療方法は進歩しています 諦めずに専門医に相談を

この記事の専門医

前田 朗 先生
  • 前田 朗 先生
  • まえだ整形外科 博多ひざスポーツクリニック院長
    久留米大学人間健康学部スポーツ医科学科 客員教授
  • 092-710-7455

福岡県

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1987年 大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部附属病院、大阪厚生年金病院(現 JCHO大阪病院)などを経て2017年6月より現職に。
資格:医学博士、日本整形外科学会 専門医、日本医師会認定 健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会 認定スポーツ医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)関節鏡技術認定(膝)
専門分野:膝関節外科、スポーツ医学、バイオメカニクス

この記事の目次

手術を考えたほうが良いタイミングはありますか?

変形性膝関節症だからといって、全ての方が手術の対象になると言うわけではありません。また、どうしても手術が嫌ならば、無理に手術を受ける必要はないと思います。しかしながら、膝の変形が進行しており、保存療法を頑張ってみたけれど、傷みが改善せず何とかしたいと思うようになるなら、手術を考えた方が良いと思います。
以前は、80代なら手術をあきらめるケースもありました。しかし現在では、「もう歳だから」とあきらめるのではなく、ご本人が望めば高齢であっても手術を受けることが可能です。しかし高齢になればなるほど、心臓や肝機能など様々な合併症を併発していることがあるので、術前に十分に検査し、問題なければ手術が可能です。

手術にはどのようなものがありますか?

内視鏡手術

内視鏡手術

人工膝関節全置換術後のレントゲン
(正面と側面)

人工膝関節全置換術後のレントゲン
(正面と側面)

変形膝関節症の手術にはいくつかの種類があり、60歳以上の方で、変形が進行している場合は「人工膝関節置換術」が主流です。それよりも若い年代で日常的に活動性が高い方には、「内視鏡手術」と呼ばれる方法で、関節内の軟骨や半月板のささくれ立った箇所をスムーズにする方法が行われることもあります。
「人工膝関節置換術」は、変形している膝の関節を人工のものに置き換える手術で、国内では年間約9万件実施されており、部分置換術と全置換術という2つの方法があります。
部分置換術は、「膝関節の一部(内側だけ)が変形している」というような方が対象となるもので、「変形が全体に及んでいる」「もともとO脚やX脚など足全体に変形がある」といった方は適応になりません。全置換と比較すると傷口が小さいので回復が早く、元々膝の動きが良い場合は、術後も膝の動きを確保しやすいなどといった特徴があります。
これに対し、変形が内側も外側も進んでいる場合や変形が強い場合には、膝関節の表面全てを人工関節に置き換える全置換術になり、膝の痛みを取り除くだけでなく、O脚やX脚の変形にも対処することができる治療法です。

術前計画とはどのようなことをするのですか?

前田 朗 先生

手術を受ける方の膝の変形具合や骨の大きさなどは人それぞれですし、人工関節そのものの大きさや形状にも様々なものがあります。そのため手術が始まってから、どのように手術しようと考えるのではなく、事前にレントゲン画像などをもとに、骨を切る量や角度を考え、どのような人工関節がその方にあっているかという手術のシミュミレーションを何度何度も行います。シミュレーションを何度も行うことで、スムーズに手術に望めますが、場合によっては術前計画通りに手術を行うと、靭帯などの膝のバランスが合わないこともあるので、そのような時は手術中に調整し、その方に適した膝になるようにしています。

術後の痛みはどの程度ですか?

患者さんの中には術後の痛みに対する心配が大きく、それが理由で手術を躊躇してしまうという方もいらっしゃるでしょう。以前は「手術をしたのだから、痛いのは当たり前」というような考え方がありました。しかし現在は、手術中に痛み止めなど複数の薬剤を混ぜたカクテル注射を膝関節周辺に打ったり、術後の麻酔や痛み止め薬の進歩などで疼痛管理が以前よりも格段に向上しています。そのため個人差はあるものの術後に「激しく痛む」と言うようなことはほとんどなく、手術後のリハビリへの移行もスムーズになっています。最近の報告では、術後の痛みが少ないほうが膝の曲げ伸ばしにも良いということが分かってきています。


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