関節治療の専門医に聞いてみました!

第267回 “膝の痛み”ライフスタイルに合わせ
治療方法は進歩しています
諦めずに専門医に相談を

  • 前田 朗 先生
  • まえだ整形外科 博多ひざスポーツクリニック院長
    久留米大学人間健康学部スポーツ医科学科 客員教授
  • 092-710-7455
ドクター
プロフィール
1987年 大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部附属病院、大阪厚生年金病院(現 JCHO大阪病院)などを経て2017年6月より現職に。
資格:医学博士、日本整形外科学会 専門医、日本医師会認定 健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会 認定スポーツ医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)関節鏡技術認定(膝)
専門分野:膝関節外科、スポーツ医学、バイオメカニクス
エリア 福岡県タグ
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前田 朗 先生

高齢の方やスポーツをしている方など、「膝が痛い」と言うお悩みを抱えている方が少なくありません。特に、「超高齢化社会」と言われる現代は、膝の疾患で悩む高齢者が増加の一途をたどっています。その多くを占める「変形性膝関節症」に対しては医療の現場でも様々な治療法が研究・開発され選択肢が増えてきています。
膝関節治療に長年たずさわる、まえだ整形外科 博多ひざスポーツクリニックの前田朗先生に膝の痛みの原因や治療法などについて伺いました。

膝の痛みの原因にはどのようなものがありますか?

膝関節のしくみ

膝関節のしくみ

膝の痛みを訴える方の場合、スポーツをしている若い方は、激しい運動やケガなどによって膝を損傷してしまったというものが多く、症状や病名、治療方法なども多岐にわたります。また高齢の方が膝の痛みを訴える場合、そのほとんどが「変形性膝関節症」です。年を重ねることで膝の軟骨がすり減り、膝の変形や痛みなどを引き起こしてしまうというものです。
変形性膝関節症は60代以上になると増加する傾向にありますが、いずれの世代も男性に比べて女性の方が多いというのも特徴の一つです。「立ち上がる時にちょっとした痛みを感じるようになった」と言う方から「痛くて歩くのが困難」「安静にしていてもズキズキ痛む」と訴える方まで、痛みの程度はそれぞれです。

変形性膝関節症の原因は何ですか? また、どのような検査を行うのですか?

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症の
レントゲン

加齢に伴って起こる変形性膝関節症は、歳を重ねることによって軽度の半月板損傷が積み重なったり、正座など長年の和式の生活が膝に負担をかけていたり……といった原因も考えられています。また、膝は体重を支える関節なので、体重過多の方は膝を痛める原因にもなります。
変形性膝関節症の場合、半月板など骨以外の部分の損傷などを併発していることがあります。レントゲンは、骨の情報は分かるのですが、骨の周りにある半月板や靭帯などの組織の情報は分かりません。そのためMRI 検査をあわせて行うと、関節軟骨、半月板や靭帯などの状態も分かるので、膝関節全体の変形の進行度合いがより分かりやすくなります。

膝に溜まった水を抜くと癖になるのですか?

関節穿刺(水抜き)

関節穿刺(水抜き)

「溜まっている水を抜くと逆に溜まりやすくなってしまうのでは?」というお尋ねもありますが、それは間違った認識です。例えるなら、常日頃から鼻の中は少し湿った状態ですが、風邪によって炎症が起こると鼻水がたくさん出てくる…という症状に似ています。関節の中にも、その動きを円滑にするための滑液があり、変形性膝関節症によって炎症が起きて滑液が過剰に分泌されると水腫になってしまうのです。水を抜いてもまた溜まってしまうのは、炎症そのものが取り除かれていないためで、抜く事によってくせになるものではないのです。当然、水が溜まる原因となっている炎症を引き起こす変形性膝関節症そのものの治療が必要になりますが、水が溜まっているために痛みが増し、動きに支障をきたし日常生活はもとより、運動療法にも影響が出る場合は、その水を抜くという処置を行うこともあります。

変形性膝関節症の場合、どのような治療を行うのですか?

足底板

足底板

変形性膝関節症の治療には、保存療法と手術療法があります。保存療法は、鎮痛剤の内服、湿布の使用、サポーターや、関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸注射、肥満の方には食事についてもアドバイスし、減量を試みることを推奨しています。そのほかに、靴の中に入れる装具(足底板)を使用し、足全体の構造バランスを整えるという方法もあります。
このように保存療法にはさまざまな治療がありますが、基本は「使える膝」を作る・蘇らせるということを目指した膝周囲の筋肉を鍛える運動療法です。しかし自己流の間違ったやり方で鍛えると、かえって膝に負荷をかけ、いっそう症状を悪化させることがあります。また、その方それぞれが求めるライフスタイルや目標、筋肉などの状態が異なります。そのため、一律に全員同じ方法でなく、専門医や理学療法士に相談し、ご自身の状態や目標にあわせた運動療法を正しく行うことが大切です。しかし痛いときに無理して行う必要はありませんので、その際は安静にするようにしてください。


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