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専門医インタビュー

股関節の治療法や技術は進歩しています ひとりで悩まず専門医に相談しましょう

この記事の専門医

赤坂 嘉之 先生

東京都

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資格:日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本リウマチ学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、難病指定医、身体障害者認定医(整形外科 肢体不自由)、日本医師会認定産業医

この記事の目次

手術を受けられない人や、手術前に気を付けることはありますか?

体重管理

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)があると、人工関節の手術を受けられないのでは? と心配される方がいるかもしれませんが、そのようなことはなく重度の骨粗鬆症があっても、ガンを治療中の方でも十分な術前準備を行えば、手術は可能です。
ただし、手術前の理想的な状態は、内科の疾患がなく、虫歯がなく、歩行可能な筋力を保っていることです。
手術前に理想的な状態に近づけるために、例えば糖尿病があるなら手術に向けて血糖値をコントロールしたり、狭心症や心筋梗塞など内科などの疾患がある場合は、先に治療を行います。近年では、虫歯治療をはじめとする口腔(こうくう)ケアが重視されるようになりました。口腔ケアは、口腔内細菌による人工関節の感染を防ぐ上でとても大切なので、虫歯などがあれば手術前に治療しておきましょう。また、体重管理も同様に大事ですが、手術前だからといって特別なことをする必要はないので、生活習慣を見直しながらこれまで通りに過ごして頂ければと思います。

人工股関節置換術は進歩しているのでしょうか?

人工股関節の一例(黄色い部分がポリエチレン)

人工股関節の一例(黄色い部分がポリエチレン)

変形性股関節症に対する代表的な手術である人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)は、傷んだ股関節を金属やポリエチレンによる関節面に置き換える手術で、50年以上の歴史があります。とくにここ10年~20年で技術が進歩しました。
人工関節が擦れ合う部分に使用される軟骨の代りとなるポリエチレン、セラミックや金属の材質の改良でより耐久性が向上し、長期間摩耗しにくくなりました。
手術にともなう痛みの軽減方法も進んでいます。低侵襲の手術が可能になったこともありますが、近年注目されているのが、手術前から手術後の疼痛管理です。手術前の痛みが強いと、手術後にも持ち越すケースがあり、そのため手術前に痛み止め薬などで、できるだけ痛みを緩和し、手術中には痛み止め薬など複数混ぜたものを関節周囲の組織に注射するなど、痛みを軽減する方法がとられています。

筋肉や腱を切らない手術方法があると聞きました

前方アプローチ、前外側アプローチ、後方アプローチ

筋肉や腱をなるべく切らずに温存する「低侵襲手術」には、「前方アプローチ」「前外側アプローチ」などいくつかの方法があります。例えば私が行っている「仰臥位前外側アプローチ」では、筋肉や腱を切らず、関節を取り囲んでいる関節包(かんせつほう)という袋もできるだけ温存できるので、痛みが少なく、術後の回復が早く、脱臼しにくいのが特徴です。ただし傷口が小さいことに気を取られ、人工関節が正しい位置に設置できなければ意味がありません。手術の目的は、人工股関節を正しく設置することなので、可能な限り筋肉や腱を痛めることなく低侵襲を目指しながら、正確に人工関節を設置する手術が行われるようになってきたのが、ここ10年ほどの流れです。


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