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専門医インタビュー

股関節の治療法や技術は進歩しています ひとりで悩まず専門医に相談しましょう

この記事の専門医

赤坂 嘉之 先生

東京都

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資格:日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本リウマチ学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、難病指定医、身体障害者認定医(整形外科 肢体不自由)、日本医師会認定産業医

この記事の目次

人工股関節置換術の合併症について教えてください

背底屈運動

背底屈運動

代表的な合併症として、肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)、感染症、脱臼があります。
肺血栓塞栓症は、脚の深部静脈にできた血栓(血のかたまり)が肺に流れ詰まることで、時として致死的となる呼吸困難などを引き起こすものです。この予防として、患者さんには、ご自身で足首をよく動かしてもらったり、手術の前後、ベッド上で脚の曲げ伸ばしをゆっくりと繰り返したり、弾性ストッキングや血液が固まりにくくなる薬を使用して予防します。
人工関節に細菌が付く感染症は、原因のひとつとなる虫歯や足の水虫などの細菌を身体の中にできるだけ入れないようにするために、口腔ケアやフットケアが重要になります。また糖尿病治療中の方は感染症になるリスクが高いので、日頃から血糖値を適切な値にコントロールするよう心掛けてください。感染症を予防するためには、高熱が出たり切り傷を作ったりしたら適切に治療し、気になることがあれば早めに病院に相談していただきたいと思います。
手術方法や技術の進歩で簡単に脱臼しないようになり、術後の動作制限は少なくなっています。また、手術中にどういう方向に外れやすいかを十分確認するので、脱臼しやすい姿勢は予想がつきます。しかし、構造的に絶対に脱臼しない人工関節はありません。そのため、リハビリ時に「こういう姿勢や運動はしないでください」という日常生活指導を行いますので、それを忘れないように心がけください。

リハビリや退院後に気をつけた方がいいことは?

リハビリ

術後のリハビリは、当日か翌日頃から立つ、歩くというリハビリを始め、患者さんごとに考える「自信を持って家で生活できる」レベルを目指します。一般的には、3~4週間程度で退院となりますが、患者さんの術前歩行状態からみてもう少しリハビリが必要な場合は、入院期間を伸ばしたり、リハビリの専門施設に転院したりできるので、焦ることはありません。手術後数カ月~数年経つと、「人工関節が入っていることを忘れます」とおっしゃる方もいます。そのような場合でも、人工関節が緩んだりすることや、新たな生活での疑問が生じることもあるので、定期的な術後検診を忘れずに受けていただきたいと思います。
運動については、格闘技などのコンタクトスポーツや高い位置からジャンプすることなどは推奨できません。だからといって、人工関節を大切にするために活動を控えるのではなく、手術前にご自身が何のために手術を希望したのか、何がしたかったのかを思い出し、医師と相談しながら色々なことに挑戦して頂きたいと思います。

現在、股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします

赤坂 嘉之 先生

股関節の痛みの原因はさまざまありますが、その原因が股関節ではなく、違う場所の可能性もあります。痛みの原因が何なのかとご自身で判断することは、なかなか難しいことです。また悩んでいるのはご本人だけでなく、周りの家族の方も同様に悩んでいることもあります。治療の方法や、技術、専門医の数も増えてきており、股関節だけなく、他に疾患を抱えていてもどのような順番で治療を行っていけば良いかアドバイスもできます。
運動器は「人の尊厳を維持する」ために重要であり、整形外科はその分野のプロフェッショナルです。なかでも股関節は、歩くために非常に重要な関節です。「もう歳だから」などと、自分ひとりで悩んだり限界を決めず、「自分でトイレに行きたい」、「自分で歩いて通院したい」などこの先どんな生活をしたいのかをご自身でもう一度考えて、気軽にご相談ください。


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