選択肢が広がる股関節の痛みの治療　我慢せず早めに専門医に相談を

入院期間や手術後の痛みの管理方法について教えてください

人工股関節置換術の場合は、手術の翌日にはもう、ご自身でベッドから車椅子に乗り移って、トイレに行くことができます。その翌日からは立ち上がったり、杖を使って歩いたりするリハビリを行います。階段がスムーズに昇り降りできることを確認して2週前後で退院なさる方が多いです。関節鏡手術では、組織修復に合わせてリハビリテーションや日常生活動作をレベルアップしていきます。人工関節よりは小さな手術になりますが、術後の2週間ほどは股関節に急激な負担がかからないように入院してリハビリ治療を進めます。
術後の痛みに関しては、麻酔方法の進化によって、痛みを抑えることができるようになっています。最近は、患者さんの体内に留置したカテーテルに持続的に痛みを和らげるお薬を注入することで痛みを軽減する方法が取られることもあります。痛みを感じた時は患者さんご自身がボタンを押すことで鎮痛薬が追加注入される仕組みになっています。痛みを完全に除去することはできませんが、痛み止めの薬や痛みを軽減する色々な方法を組み合わせ、手術にともなう痛みを感じない方法がとられています。

術後の生活で注意することはありますか？

人工関節の手術を受けた方の場合、人とぶつかるようなコンタクトスポーツは避けて頂きたいですが、手術後3ケ月くらいから、だんだんとスポーツなど活動性を上げていくことが可能です。
日常生活では、転ばないように気をつけること。それと術後、2週間、3週間と徐々に傷が治っていく過程で無理はしない、ということですね。術創部が十分に修復するまでは、極端に深く曲げたり股関節を反らすといった動きは避けたほうがよいでしょう。避けたほうがよい動作は痛みが教えてくれるので、安心と思います。退院後は、ご自身の様子だけでなく、人工関節の状態を確認する必要があるので、定期的に通院することは大切です。

股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします

股関節は人の体のなかで要となる関節です。今は保存的な治療法をはじめ、関節鏡による手術や人工股関節置換術など、さまざまな治療の選択肢があります。治療法を選択する場合、例えば趣味のゴルフをプレーできるようになりたいという方と、家での生活で十分とお考えの方では治療方法が変わってくると思います。
大切なのは、ご自身が何を望んでいるかであり、症状はもちろん、生活スタイルや仕事、趣味なども総合的に勘案して、医師と十分に相談し適した治療法を選択していただきたいと思います。股関節の痛みに悩まれている場合は是非、整形外科の専門医にご相談ください。