専門医インタビュー
振り子運動
痛みの感じかたは人それぞれで手術前にあった痛みがまったくなくなるわけではありません。基本的には内服薬で痛みのコントロールを行いますが、人工関節の手術後に持続痛がある場合は、感染を起こしている可能性があります。そのため、定期的に通院していただきながら採血などの検査をして感染の有無を判断し、少しでも疑いがあれば抗生剤を点滴することもあります。
関節鏡視下腱板修復術や従来の人工肩関節置換術の場合、手術後に固定が必要ですので、そのあとに固まっている肩をリハビリで改善していきます。リハビリのプログラムは施設によって異なりますが、ご自身の生活の中でリハビリを行う場合、外来で器具を使ったリハビリ指導を受けていただきます。正しい動かしかたを覚えて生活の中で実践していただくことで、より早い回復を期待することができるのです。具体的には、体を前かがみにして腕を振り子のように動かす「振り子運動」など、ご自宅でできるものも含めさまざまな方法があります。リバース型人工肩関節全置換術の場合、手術後に長期間固定をする必要はなく、1~2週間程度で肩を動かすことができます。特にリハビリを指導することはなく、ご自宅に帰って早く日常生活の中で使ってくださいとお伝えしています。
関節鏡視下腱板修復術や従来の人工肩関節置換術の場合、通常の生活をしていただいて問題ありませんが、手術後2か月までは極力無理をしないようにしましょう。手術後3か月、6か月にMRI検査を行い、徐々に動かす範囲を広げていきます。半年経てば特に制限はなくスポーツをしても問題ありません。リバース型人工肩関節全置換術については特に制限を設けていませんが重い物を持ったりするのは避けたほうが良いでしょう。最初の6週間程度は特に注意が必要です。
日常生活に戻られても基本的に痛むようなことはしないことをお勧めします。筋肉を鍛えれば何とかなるという考えかたは避けたほうが良いでしょう。趣味でゴルフや水泳などをする場合は、痛みの出ない方法を探し、痛みのない範囲で運動をすることが大切です。
まずは痛みの原因が何かを知るためにも、整形外科を受診してみることをお勧めします。患者さんの中には、いろいろな病院を渡り歩いてこられた方も多くいらっしゃると思います。治療を進めるには医師とのコミュニケーションが欠かせません。治療のメリットとデメリットを理解するとともに、ご自身の気持ちをしっかりと伝え、医師と十分に話をして意思の疎通を図り、納得のいく治療で改善を目指しましょう。
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