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専門医インタビュー

“肩が痛い”“腕があがらない”原因と治療法を知って改善を目指しましょう

大前 博路 先生

愛媛県

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資格:日本専門医機構認定整形外科専門医
専門:肩関節

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この記事の目次

肩の痛みを「四十肩」や「五十肩」など年のせいだと自己判断し、放置したままにしていませんか。その痛みは、放置すれば悪化してしまう腱板断裂や変形性肩関節症といった別の病気によるものかもしれません。「肩に痛みがある時は、痛みの原因が何で起こっているかを知ることが大切です」とアドバイスを送る、松山赤十字病院の大前博路先生に、受診のタイミングや治療法などについてお話を伺いました。

なかなか良くならない肩の痛み。原因は何ですか?

腱板を構成する筋肉

腱板を構成する筋肉

肩は上腕骨(じょうわんこつ)と肩甲骨(けんこうこつ)の二つの骨からできています。それらの骨をつなぐ腱板(けんばん)という4つの筋肉がバランスよく収縮することで腕をあげたりさげたりすることができます。ところが、この腱板という組織は40代くらいから傷つき始め、痛みが出てしまうことがあります。その原因は加齢による腱板の劣化やケガによる損傷が主なものです。
このように腱などの老化によって周りの組織に炎症が起こっている状態を肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)、いわゆる四十肩、五十肩といいます。四十肩、五十肩になると、腕があがらない、痛みで夜も眠れないといった症状があらわれます。またひどくなると組織が癒着(ゆちゃく)して肩が固まってしまい、動かせなくなるケースも少なくありません。
通常は治療を行いながら、痛みが強い時期があり、それが終わって関節が固まる時期があり、最後に固まりがとれてくる。この3段階で良くなっていく形が多いですね。ただし、患者さんによって良くなるまでの期間や痛みの感じかたは異なります。

その他に知っておくべき病気はありますか?

腱板断裂(けんばんだんれつ)

腱板断裂(けんばんだんれつ)

腱板が切れてしまう「腱板断裂」という病気があります。スポーツでのケガや交通事故などによるものもあれば、高齢者の場合、生活習慣からゆっくりと進行しいつの間にか腱板が断裂しているケースもあります。症状が四十肩、五十肩とよく似ていることから、中には「年のせいだ」と自己判断されている方も多くいらっしゃるかもしれません。腱板断裂が進行すると、そこから骨や軟骨の変形につながり「腱板断裂性関節症」(けんばんだんれつせいかんせつしょう)という別の病気に発展する場合もあります。切れた腱板、変形した骨や軟骨は、残念ながら元のような健康な状態には戻りません。だからこそ「年だから」と決めつけずに痛みと向き合うことが大切なのです。
その他、加齢により骨や軟骨が変形し痛みが生じる「変形性肩関節症」(へんけいせいかたかんせつしょう)、首からくる神経症状、内科的な病気からくるもの、肩自体の腫瘍性の病変のほか、稀にですが血液の病気による場合もあります。適切な治療のタイミングを逃さないためにも、肩が痛むときは数日間様子をみて、強い痛みが続く場合は整形外科を受診するようにしましょう。

手術以外の治療にはどのようなものがありますか?

エコー(超音波)を使った治療の一例

エコー(超音波)を使った治療の一例

夜間痛などレベルの強い痛みの場合は、安静にしてもらい、炎症を抑えたり神経の興奮を抑える飲み薬を使ったり、腱の周りや関節の中に注射を行ったりします。内服薬はどれが正解だといえるものではありません。人によってよく効く薬もあれば、逆に強く副作用が出る薬もあります。患者さんのお話をよく聞き、効果があれば継続し、なければ系統の異なる薬に変えます。注射も同様で、打つ場所を慎重に確認しながら症状が改善される方法を探していくことになります。肩の治療では、近年、患者さんが安心して治療を受けられるようエコー(超音波)を使った治療が増えてきています。四十肩、五十肩で肩が固まってしまっている患者さんに対しては、エコーで痛みの原因部分を確認しながら局所麻酔を行い、医師の手により肩関節を動かして癒着している組織を剥離する治療法があります。こうすることで、固まって動かせなかった肩が柔らかくなり、その後リハビリを行うことで動きの改善を期待することができます。


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