関節治療の専門医に聞いてみました!

第339回 膝の痛みはガマンせず専門医に相談をその方その方にあった治療を選択しましょう

ドクター
プロフィール
専門分野:膝関節外科・人工関節・外傷
資格・所属学会:日本整形外科学会 専門医、日本人工関節学会 認定医、日本DMAT医師、日本関節病学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
エリア 福岡県タグ
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市村 竜治 先生

特に高齢者の膝が痛む原因として代表的な疾患は変形性膝関節症ですが、その原因として半月板損傷がベースにあることが多いようです。半月板損傷は程度によっては関節鏡による低侵襲な治療ができることもありますが、膝が痛くても病院を受診せずガマンしたり、自己流でトレーニングをしているとかえって膝の状態が悪くなり、侵襲の高い治療が必要になってしまいます。南川整形外科病院の市村竜治先生に変形性膝関節症の治療法だけでなく、半月板断裂の治療法などについてうかがいました。

高齢の方が膝に痛みを感じる主な原因にはどのようなものがありますか?

膝の靭帯や半月板

関節リウマチや骨壊死(こつえし)など様々な原因が考えられますが、高齢者に多いのは膝の軟骨がすり減り骨同士がぶつかり痛みが出る変形性膝関節症です。
過去にスポーツやケガなどで膝の靭帯や半月板が傷ついていたり、年齢を重ねることで膝の軟骨がすり減ってきたなどが考えられています。
これまでレントゲン検査だけでは見逃されがちだったのですが、最近ではMRI検査が広まったことで、半月板が切れている方が多くいらっしゃることが分かってきました。特に急速な膝関節の変形や骨壊死の原因となる切れ方に半月板後角断裂があります。「後角」とは、半月板が骨に付着している部分のことで、ここが切れると半月板がグラグラになり機能が低下してしまいます。半月板が断裂すると聞くと、スポーツなど激しい運動をしている時に起こるのではと思われがちですが、高齢の方の場合は階段を昇ったり降りたりした時や、転倒した時、低い障害物を飛び越えたときなど、日常生活での何気ない動作や軽い運動をしている時でも半月板が断裂してしまう危険性があります。

半月板が断裂した場合、どのような治療を行うのですか?

関節鏡視下手術

関節鏡視下手術

半月板の断裂の形態や場所によって異なりますが、膝関節の中に小さなカメラや医療器具を挿入して治療する関節鏡視下手術を行うことができます。しかしながら一般的に高齢者の半月板断裂を関節鏡視下手術で治療しても、満足のいく結果が得られないことが多いと思われます。ただし断裂の形態が円板状半月板(半月板が生まれつき丸い方)の断裂であったり、半月板後角断裂の場合は鏡視下手術で改善が見込める可能性があります。いずれにしても骨や軟骨に損傷がない方が治療効果が高いので、受傷して早期(おおよそ3カ月以内)に手術を受けることをお勧めします。特に半月板後角断裂は断裂した際に何かブチッと切れたような音(ポップ音)が鳴ることが多く、痛みや腫れが生じます。数か月すると痛みが治まることが多いため、治ったと思われる方がいらっしゃいますが、断裂した半月板は元に戻ってはいません。放っておくと変形性膝関節症や骨壊死へ進行することがあるので注意が必要で、そうなってしまうとカメラだけでは治療できず、骨の手術(骨切りや人工関節)の適応になってしまいます。何かおかしいなと思ったら放置せずに整形外科を受診し、必要があればMRIで膝の状態を細かく検査し痛みの原因を確認することが大切です。

変形性膝関節症と診断された場合、どのような治療を行うのですか?

大腿四頭筋のトレーニング

大腿四頭筋のトレーニング

まずは痛み止め薬を使用したり、関節内にヒアルロン酸を注射したり、膝関節を支える太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるトレーニングや、曲げる・伸ばすといった可動域訓練などの保存療法を行います。また装具を使用することもあり、膝にサポーターを付けたり、足底板(そくていばん)といって、医療用の靴の中敷きを入れ、膝にかかる荷重を変え負担を軽減する方法もあります。保存療法の中で大腿四頭筋のトレーニングは特に大切です。痛みのせいでトレーニングができない状態の時は、座ってでもできるような簡単なものから始めていきます。トレーニングは自分で簡単にできるのではと思われるかしれませんが、自己流で間違った方法で行うと、かえって変形が進んでしまったり痛みが増すことがあります。理学療法士など専門のスタッフからご自身の身体の状態をしっかり確認してもらい、ご自身の状態にあった方法を教えてもらって、正しいトレーニングをしていただきたいと思います。


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