専門医インタビュー
手術による痛みは日を追うごとに軽減してくるのですが、痛みが特につらい手術後数日間は、色々な方法や薬剤などを組合せ、徹底的に痛みを軽減させます。手術中から数日間は、背中の神経のところにチューブを入れ、そこから麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行うことがあります。また、色々な痛み止めや炎症を抑える薬を混ぜたものを、人工関節が入った周りの組織に注射(カクテル注射)し、副作用に注意しながらさまざまな痛み止めの薬も使用します。
手術後すぐに、激しく膝や股関節を動かすと痛みや腫れの原因になり、リハビリにも影響します。リハビリは基本的に翌日から開始しますが、特に膝関節の手術の際は、腫れがきつくなりやすい術後2~3日は包帯で膝を圧迫し、炎症が少し落ち着いてきてから可動域訓練を開始します。
入院中は歩行や可動域訓練、筋力トレーニングだけでなく、階段昇降やお風呂に入る練習など、日常の生活をご自身でできる訓練もあわせて行います。
股関節の手術を受けた方であれば、脱臼しないように、入院期間中に教えてもらった脱臼しやすい姿勢や動きには注意していただいたいです。また、人工関節の手術後は感染症に注意する必要があります。人工関節が入っている部分に、熱が出たり、腫れてきたり、赤くなってきたらすぐに受診をするようにしてください。
マラソンや、飛ぶ動作などが含まれる激しい運動は控えたほうが良いですが、適度に筋力を維持することは大事です。家でじっとするためではなく、色々なことができるようになるために手術を受けられたと思います。趣味のゴルフや卓球など、主治医の先生と相談しながら色々なことを行っていただきたいですね。
痛みがあれば、まずは整形外科を受診して、ご自分の現状を知ることが大事です。保存療法で痛みが楽になる方も多くおられます。ただし、全ての方が保存療法で満足する効果が得られるわけではありません。十分な保存療法を行っても痛みが取れない場合は、手術療法が必要になることもあります。
初めての手術を受けることに対する不安は当然ですし、誰でも手術は怖いです。しかし、痛みを長期間放置して本当に歩けなくなると、ご自分だけでなく周囲のご家族にもご負担がかかることになりかねません。
手術をする大きな目的は、普通の日常生活を痛みなく過ごすことですが、手術を受けることで、それまで諦めていた旅行やさまざまな活動への参加などができるようになる方もいます。
いざ手術を勧められても分からないことばかりだと思います。分からないことや不安なことは、担当医に遠慮なく質問して納得して一緒に治療方針を相談しましょう。
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