女性に多い外反母趾は靴が原因の一つです！足の専門医に相談し適切な治療の選択を

外反母趾の手術後のリハビリについて教えてください

手術後、外反母趾になる前の“よく歩ける足”にどれだけ早く戻れるかは、患者さんのリハビリの頑張り次第というところもあります。いち早く社会・仕事・スポーツ復帰するためには、術後のリハビリがとても重要です。
手術翌日から、術前より用意していた「前足部免荷装具」（ぜんそくぶめんかそうぐ）を装着して歩く運動を行います。前足部免荷装具とは、つま先に体重のかからない履きものことで、患部に負担をかけずに歩行訓練ができます。医師や理学療法士らが密な連携を取り、患部の骨がくっつく（癒合する）のを待ちながら、足や関節の動く範囲を広げる可動域訓練など、段階的に運動のレベルを上げていきます。退院後も通院でのリハビリやご自宅でのケア・トレーニングを続けてもらい、つま先に部分的に体重をかけて歩く運動など、さらに足の可動域を広げる訓練を行っていきます。一般的には、術後約2～3か月で装具を外して従来の靴で歩けるぐらいに回復します。

日常生活に復帰した後、日ごろから気をつけることはありますか？

適切な手術を行い、リハビリに努めれば、復帰後は日常生活で大きく制限されることはありません。ほとんどのケースで、元の趣味やスポーツの再開を期待することができます。
ただし、外反母趾の治療は手術をすれば終わりではなく、術後も正しい靴選びと予防を心掛けなければ、足の変形や痛みが再発しかねないので注意しましょう。足周りのストレッチや筋トレも継続してください。また、手術した足に問題はないか、正しい歩き方ができているかなどをチェックするために、半年から1年ごとに定期的な診察・検査を受けるのが望ましいです。

最後に、外反母趾に悩んでいる方にメッセージをお願いします

外反母趾は、その名前こそ有名ですが、まだ世の中に十分に知られていない病気の一つです。診療の現場では、残念ながら症状がかなり進行してから受診される患者さんが多くみられます。症状が悪化しているのに「外反母趾ぐらい」と軽く考えたり「まだ大丈夫」「年だから仕方ない」と自己判断したりしてしまうと、効果的な治療のタイミングを逃してしまいます。また、外反母趾が重症化すると、膝関節や股関節の痛み、腰痛、運動不足による生活習慣病罹患のリスク、歩行困難や転倒しやすくなるなど二次的な障害の大きな要因となり、全身の健康に悪影響を及ぼします。“たかが外反母趾”と侮ることはできません。
少しでも足の親指に痛みや違和感を感じたら、まずは一度整形外科を受診し、ご自身の足がどんな状態なのか確かめてみることをお勧めします。日本足の外科学会のホームページには、患者さん向けの治療の知識や情報が紹介されています。地域ごとの「足の外科」の医療機関・医師の情報も掲載されているので、迷うことがあれば参考にしてみてください。