専門医インタビュー
北海道
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足の親指が変形して曲がり、痛んだり腫れたりする外反母趾。そのまま放置しておくと、歩くことさえ困難を来たすこともあり、早めの治療が大切です。外反母趾の原因は何か、どのような治療法が有効なのか?羊ヶ丘病院の倉秀治先生にお話を伺いました。
外反母趾は、足の親指(母趾=第1趾)が小指(小趾=第5趾)側に曲がり、親指の付け根の関節(MTP関節)が飛び出してしまう病気です。突出部が靴に当たると、痛みや腫れが生じます。変形が進むと、親指がねじれてきて人差し指(示趾=第2趾)の下に潜り込んだり、反対に人差し指の上に乗ったりすることもあり、人差し指の脱臼を引き起こすことがあります。人差し指・中指(中趾・ちゅうし=第3趾)の付け根に負担がかかって、足の裏にタコ(胼胝(べんち))ができやすくなり、さらに足の痛みが増します。また、人差し指と中指がかぎ状に変形してしまうハンマートゥの原因にもなります。
症状がひどくなれば、靴を履いていなくても痛むようになり、歩けなくなるなど日常生活に支障を来たします。
開張足
外反母趾の原因には、生まれながらの遺伝的な要因と、生活習慣がかかわる後天的な要因があります。前者は、生まれつき足の親指が(人差し指より)長かったり、足の幅が広い開張足(かいちょうそく)ぎみだったりすると発症しやすいとされています。後者は、足に合わない靴を長時間、履き続けたことによるものです。幅の狭くつま先が細くなった靴を履くと、親指の付け根から先が圧迫されて変形を引き起こしやすくなります。また、かかとの高い靴は指の付け根にかかる力が増え、さらに変形を強く促します。
男女比では女性に圧倒的に多く、実際に治療をされている患者さんのうち約9割は女性です。ハイヒールやパンプスなど、足に負担のかかりやすい靴を履く機会が多いことが大きな理由と考えられます。中高年での発症が多いですが、若年層や10歳以下のお子さんにもみられる病気なので注意が必要です。
足の親指の付け根や裏に痛みが出たり、足の指の形に異常を感じたりしたら、早めに整形外科へ受診されることをお勧めします。外反母趾は進行性の病気で、変形が自然に回復することはなく、放置していると徐々に変形は進行していきます。また、本来は親指を人差し指から外側に開く働きを持っているはずの足指の筋肉が、外反母趾の影響で硬くなったり縮んだりすることで、反対に小指側に引っ張られて指の変形を助長するように働いてしまいます。
早めに受診して正確な診断を受けると治療の選択肢が広がります。重症化してからでは、日常生活への影響もそれだけ大きくなるので、できるだけ早期に治療を始め、症状をうまくコントロールしていくことが大切です。
外反母趾かどうかは、親指の曲がった角度で決まります。病院では、エックス線写真を撮影して計測します。日本整形外科学会の診療ガイドラインは20度以上の曲がりを外反母趾と定義し、20~30度未満=軽度、30~40度未満=中等度、40度以上=重度としています。問診、画像検査などの診断をもとに、患者さんの年齢やライフスタイル、要望なども考慮した上で治療法を決めていきます。
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