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専門医インタビュー

まっすぐな脚で痛みのない人生を楽しもう!人工膝関節置換術は長期成績の安定した治療法です

この記事の専門医

大橋理事長

岐阜県

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京都府立医科大学卒業。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医
谷院長

岐阜県

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岐阜大学卒業。医学博士。日本麻酔科学会認定麻酔科専門医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医。

この記事の目次

「人工膝関節置換術」の具体的な内容を教えてください。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術

谷院長 人工膝関節置換術とは、変形した膝関節の表面を取り除き、人工の膝関節に置き換える手術です。人工膝関節は3つの部品で構成されており、太ももの大腿骨側と膝下の脛骨側の関節部分に装着します。この2カ所の間にはポリエチレンでできたインサートが入っており、これが軟骨の働きをします。人工関節を骨に固定する方法は、骨セメントを用いないセメントレス固定(直接固定法)と骨セメントを使用するセメント固定(間接固定法)の二つあります。関節リウマチや骨粗しょう症などで骨が脆くなっている人以外には、骨を温存するためにできる限りセメントレスである直接固定法を選択しています。手術時間もセメント固定に比べて短く、この方法で一旦固定が完成すると将来ゆるむことはないと考えられます。現在、当院の人工膝関節置換術の90%以上はセメントレス固定法で行っています。

バイオクリーンの手術室

バイオクリーンの手術室

大橋理事長 術中・術後に輸血が必要になった場合、他人の血液である同種血輸血では感染症や免疫反応などのリスクが0%とはいえません。そこで当院では人工膝関節置換術を行うほぼすべての患者さんに、手術の3週間前から外来で1回~3回に分けて自己血採血を実施します。術中回収血装置も使用しながら、同種血輸血を避けることで患者さんの安全を最優先しています。

谷院長 当院の人工膝関節置換術の平均年齢は75歳ですが、全身状態に問題がなければ年齢制限は設けていません。最高齢の方は93歳です。年齢よりも、「人生に前向きで、これからも生活を楽しみたいという意欲があるかどうか」が重要なのだと思います。そういう人は術後のリハビリにも積極的に取り組まれますから、高齢でも手術をお勧めしています。

両脚に痛みや変形がある場合、同時に手術することもあるのでしょうか?

人工膝関節置換後(両脚)のレントゲン

人工膝関節置換後(両脚)のレントゲン

谷院長 あります。手術時間は片側が約1時間半なので、その倍の約3時間~3時間半かかりますが、入院期間は片側手術とほぼ変わりません。手術も麻酔も1回で済みますから、患者さんにとってのメリットは大きいといえるでしょう。もちろん、両側が悪くても「片方ずつやって欲しい」という人には片膝ずつ手術を行います。片方が良くなることでもう片方への負担が減り、手術していない方の膝の痛みが軽減する場合もあります。ただし、片方の足だけをまっすぐにすると、どうしても脚の長さが違ってくるため、歩きにくくなります。その結果、あまり時間をおかずにもう片方の手術を希望される患者さんが多いですね。

大橋理事長 全身状態に問題があり、両側同時手術では負担が大きすぎる患者さんの場合は別ですが、同時に手術を行っても問題がないと判断した場合は、効果やリスクについて詳細に説明した上で、両側同時手術をお勧めすることもあります。

人工膝関節の耐用年数はどのくらいですか?

大橋理事長 一般的に人工膝関節の耐用年数は15年~20年といわれていますが、個人差があり、一概に何年ということはできません。仕事内容や活動量、使い方によっても耐用年数は変わってきます。実際、30年使っていても何の不具合もない患者さんもいらっしゃいますし、10年くらいで、すり減ったサーフェイスのポリエチレン部分を入れ替えるケースもあります。

谷院長 現在の人工膝関節の材質やデザインは、以前に比べて格段に進化しているので、今後の耐用年数はより伸びていくかもしれませんね。人工膝関節置換術の平均年齢は75歳ですから、多くの場合、再置換することなく生涯を過ごすことができるでしょう。ただし、異常があったときにすぐに対処できるよう、術後の定期的な検診は欠かさないよう患者さんにお願いしています。


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