変形性ひざ関節症(OA)治療法
(1)保存療法
運動療法
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)など膝関節周囲の筋肉を筋肉トレーニングで鍛える治療法です。筋肉には関節への負担や衝撃を和らげる役目があるため、痛みの軽減や症状の進行を抑制する効果があります。
変形性膝関節症の場合は、炎症と痛みに十分配慮し、下肢挙上(かしきょじょう)運動や温水プールでの歩行、自転車漕(こ)ぎなど無理のないトレーニングを行います。
運動療法は膝関節疾患(しっかん)の予防にもなり、また将来、手術を受けることになっても、筋力が維持されていると、術後の回復に大変有効です。
やり方がわからない場合は医師や理学療法士の指導を受け、少しの運動であっても毎日続けることが重要です。
装具療法
膝の変形によって不安定になってしまった膝支持性の補強や、膝関節への負担を減少するために使用します。日本人の場合、骨の形状から膝の内側の軟骨だけすり減り減って徐々にO脚になり、変形性膝関節症に発展することが多いため、この進行を抑制するために靴の中敷に特殊な板(外側くさび状足底挿板(そくていそうばん))を敷く装具療法がよく用いられています。
関節注射
変形性膝関節症は症状が進むと関節内の潤滑油(じゅんかつゆ)で、軟骨の栄養である滑液が減ることから、滑液の主成分であるヒアルロン酸ナトリウムを関節の中に直接注射し補う治療法です。
薬物療法
膝関節に起きた炎症(えんしょう)を消炎鎮痛剤(しょうえんちんつうざい)で抑える治療法です。湿布(しっぷ)や軟膏(なんこう)などの外用薬も併用して使う場合があります。変形を抑制する効果はありません。