コラム21 術後の回復をスムーズにする生活準備
医師と相談した上で、今度、人工関節手術を受けることになりました。「さあ、手術の日程も決まった!」となった場合、退院後の生活に向けての準備も必要になります。入浴、トイレ、食事、着替え、家事、買い物など、できるだけスムーズに回復、生活するためにも、手術を受ける前に以下の生活準備を行っておきましょう。
回復に向けて、自宅の環境を整える
手術までのわずかな時間を使って自宅の準備を整えることで、術後の回復を大きく改善させることができます。ここでは、自宅の中で実践できる工夫をいくつか紹介していきます。
自宅全体
- 敷物などは片づけ、ずれる可能性のあるカーペットは鋲(びょう)で固定する
- 電気コード、電話線、玩具など、つまずきの原因となるものは片づける
- 傾いた床や地面があれば修理するか、把握しておく
- 照明を明るくする
- 滑りやすい床には裏地が滑りにくくなったカーペットを敷く
- リモコン、医薬品、読み物など、定期的に使うものは手の届きやすい便利な場所に置いておく
台所
- 缶詰や冷凍食品を多めに備蓄しておく
- 食事を作り置きして冷凍しておく
- 食品は腰から肩までの高さの棚に保管する
- よく使用する調理機器、鍋、フライパン、食器、調理用具などは、調理台の上か手の届きやすい場所に置いておく
浴室/トイレ
- トイレットペーパー、シャンプー、歯磨き粉、医薬品などの消耗品は多めに備蓄しておく
- 浴室に椅子を置く
- シャワーヘッドを手持ち式のものにする
- 便座を高くする
- 長い把手(とって)のついたワタシ、スポンジを用意する
- 浴室やトイレの近くに手すりを設置する
- 浴室には滑り止めマットを敷く
寝室
- 可能であれば寝室を1階にする
- タオル、寝具、汚れた衣類はすべて洗濯する
- 部屋着やパジャマはゆったりしたものを着用し、腰から肩までの高さの引き出しやクローゼットにしまう
- 常夜灯を設置する
その他
- 電話は常に、すぐに手に取れる場所に置いておく
- コードレス電話や携帯電話の使用を検討する
- ちょっとした移動にはキャスター付きの椅子が便利
- バランスを保つのに自由に手を使えるようにするため、
必要な物を携帯するためのウエストポーチ、小型のリュックサック、大きなポケットの付いたエプロンなどの使用をする
家族や友人の協力を取りつけておく
術後、できるだけスムーズに回復するためには、病院と自宅の往復、数週間続くリハビリ運動など、周囲の人からの手助けが必要になる場合があります。可能であれば、前もって家族や友人に連絡をして、これから手術を受けることを伝えると共に、必要なお願いなどがあれば、合わせて頼んでおきましょう。自宅で手を貸してくれる方がいない場合は、在宅介護サービスについても調べておく良いかとも思います。